「臨床試験で証明済み:シワを40%軽減」。このような訴求は製品の販売を後押ししますが、同時に当局、競合他社、消費者団体が真っ先に確認する項目でもあります。化粧品の「臨床的に証明された」という訴求が認められるのは、パッケージ上の表現そのものを裏付ける実際のヒトのデータがある場合に限られます。本ガイドでは、EUで求められるエビデンス、適切な表現の選び方、そして根拠資料として通用するファイルの作成に役立つ試験について解説します。
目次
結論
「臨床的に証明された」とは、最終製品または代表処方を用い、適切な方法でヒトのボランティアを対象に実施した試験が文書化されており、その結果が訴求内容と一致していることを意味します。試験でそれを示せない場合は、「消費者の使用実感」や「機器による測定」など、裏付けられる控えめな表現を選び、試験の詳細を製品ファイルに記載してください。
化粧品の訴求に関する法規制
規則(EC) No 1223/2009の第20条は、製品が持たない特性や機能を示唆する文章、名称、商標、画像その他の表示を禁止しています。さらに規則(EU) No 655/2013が、すべての訴求が満たすべき6つの共通基準を定めています。
- 法令遵守:製品を、医薬品など実際とは異なるものと思わせないこと。
- 真実性:販売される製品について、訴求が事実であること。
- エビデンスによる裏付け:十分で検証可能なエビデンスに基づいていること。
- 誠実性:効果を誇張しないこと。
- 公正性:競合他社や成分を不当に貶めないこと。
- 情報に基づく意思決定:消費者が明確な根拠をもとに判断できるよう助けること。
不公正な商慣行に関する一般規則も適用されるため、製品自体がまったく安全であっても、誤解を招く訴求は異議を申し立てられる可能性があります。
消費者は「臨床的に証明された」をどう受け取るか
消費者は「臨床的に証明された」「臨床試験済み」という表現を、多くの場合専門家の監督下で実際の人を対象に行われた臨床試験の証明と受け取ります。「1つの成分の実験室試験」や「友人へのアンケート」とは受け取りません。この表現は強い根拠があることを示すため、求められる水準は高く、当局はその背後にある試験を確認します。
「皮膚科医による試験済み」も同様です。皮膚の専門家が関与し、製品が皮膚上で評価されたことを示唆するため、すべての人に合うこと、あるいは反応が出ないことを約束する表現として使うべきではありません。

どのようなエビデンスが認められるか
安全性評価者や検査を行う当局は、見出しの数値だけでなく試験そのものを確認します。訴求を裏付ける試験には、通常、次の要素が備わっています。
- 適切な製品。試験した処方が販売する処方であること、または妥当性のある同等品であること。
- 適切な被験者。ボランティアが年齢、肌タイプ、肌の状態の点で対象グループに合致し、結果を裏付けるのに十分な人数であること。
- 適切な方法。評価項目が、妥当性確認済みの機器または標準化された評価スケールで、できればブランドから独立した担当者によって測定されていること。
- 公正な比較。ベースラインがあり、比較を謳う訴求の場合は、対照、プラセボ、または未処置部位があること。
- 現実的な使用。試験での用量、頻度、期間がパッケージの使用方法と対応していること。
- 誠実な統計。結果が適切な方法で解析され、表示する数値を報告書までさかのぼって確認できること。
表現をデータに合わせる
最もよくある失敗は、測定された内容とパッケージの表示との間にずれがあることです。次の例を考えてみましょう。
- 肌がなめらかになったことを示す4週間の試験では、「シワを永久に消す」という表現を裏付けられません。
- 30人の使用者のうち87%が「そう思う」と回答したアンケートが裏付けるのは「使用者の87%が肌がなめらかになったと回答」であり、「臨床的に証明されたなめらかな肌」ではありません。
- 試験管内での成分のデータは、完成品のクリームが同じ働きをすることを示すものではありません。
- 8週間後の結果を「7日間で実感」と宣伝することはできません。
パーセンテージを表示する場合は、参加者数、期間、試験の種類などの背景を脚注に添えてください。これは望ましい慣行であり、訴求が誠実性の基準を満たすことにも役立ちます。
機器測定、臨床評価、消費者調査
有効性の訴求は通常、次の3種類の試験のいずれかで裏付けられます。表現では、適切な種類を明示する必要があります。
- 機器による測定(例:機器で測定する肌の水分量や弾力):客観的で、「機器で証明済み」や「Y時間後に肌の水分量がX%増加」といった表現に適しています。
- 専門家による臨床評価(皮膚科医が赤み、乾燥、シワの深さを評価):「臨床的に証明された」や「皮膚科医が評価」を裏付けます。
- 消費者の使用実感調査(使用者がアンケートに回答):「X%の使用者が〜と感じた」で始まる訴求を裏付けますが、客観的な訴求は裏付けません。
3つを組み合わせても問題ありません。ただし、それぞれの訴求が正しいデータセットに対応している必要があります。
パッチテストの位置づけ
パッチテストは安全性と忍容性の試験であり、有効性の試験ではありません。ボランティアを対象とした48時間の閉塞パッチテストを1回行うことで、管理された条件下で完成品が皮膚を刺激したり感作したりするかどうかがわかります。「皮膚科医による試験済み」や「肌への優しさを確認済み」といった表現を裏付け、CPSRにおける安全性エビデンスの重要な一部となります。ただし、製品がシワを目立たなくする、あるいは肌を保湿することの証明にはなりません。
「ハイポアレルジェニック」や「敏感肌向け」といった訴求には、特に注意が必要です。これらは反応のリスクが低いことを示唆するため、根拠のある処方と関連する忍容性データを組み合わせ、控えめな表現にとどめてください。「アレルギーフリー」とは決して表示しないでください。

安全性が最優先:訴求はCPSRの代わりにならない
訴求のための試験は、安全性評価の代わりにはなりません。ボランティアで何かを試験する前に、製品はすでに使用上安全であることが必要です。つまり、完了したCPSR、少なくともヒトでの試験を可能にする安全性評価が必要です。その後、訴求のエビデンスは、安定性、微生物学、チャレンジテストのデータとともに、製品情報ファイル(PIF)に収められます。安定性試験も訴求にとって重要です。使用期限の終わりまでに有効成分が劣化してしまえば、初日に示された有効性はもはや真実ではなくなる可能性があります。
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よくある間違い
- 成分レベルの試験に「臨床的に証明された」を使う。
- グループの平均ではなく、最も成績の良い被験者の最良の結果を表示する。
- 試験後に処方を変更したのに、訴求をそのまま使い続ける。
- 原料サプライヤーの試験を、完成品の証明として引用する。
- 訴求の読み取り方が変わる場面で、脚注を省略する。
- 新しい市場へ訴求を翻訳する際、エビデンスに関する各国の期待を確認しない。
訴求のエビデンスを構築する実践的な流れ
- パッケージ、ウェブサイト、マーケティング資料上のすべての訴求を一覧にします。
- 客観的なもの、使用実感に基づくもの、単なる説明的なものに分類します。
- 客観的な訴求ごとに適した試験の種類を選び、試験開始前にプロトコルを合意します。
- 最終処方で試験を実施します。必要に応じて最終パッケージでも行います。
- 報告書、プロトコル、生データの要約をPIFに保管します。
- 処方、用量、対象グループが変わるたびに、訴求を再確認します。
よくある質問
「clinically tested」と「clinically proven」の違いは何ですか。
「clinically tested」(臨床試験済み)は試験が行われたことを示し、「clinically proven」(臨床的に証明された)は試験で結果が実証されたことを示します。そのため後者には、訴求と一致する有意な結果を含む、より強いエビデンスが必要です。
似た処方の試験を使えますか。
処方が非常に近く、その違いが有資格者によって妥当と判断される場合は、使える可能性があります。根拠を文書化してください。明らかに異なる処方の試験は、有効なエビデンスではありません。
「皮膚科医による試験済み」と表示するには、パッチテストが必要ですか。
皮膚科医の監督下で、製品が皮膚上で評価されたことを示す文書化されたエビデンスが必要です。パッチテストはそれを示す一般的な方法ですが、表現は控えめにし、すべての肌に適していると思わせることは避けてください。
重要ポイント
- 「臨床的に証明された」には、適切な製品を対象としたヒトでの試験があり、その結果が訴求の表現そのものと一致していることが必要です。
- 規則655/2013は、すべての訴求にエビデンスによる裏付け、誠実性、真実性を求めています。
- パッチテストが示すのは忍容性であって有効性ではなく、CPSRが先に必要です。
- すべてのプロトコルと報告書をPIFに保管し、処方を変更するたびに訴求を再確認してください。
