遅かれ早かれ、顧客やサロン、運送業者から安全データシートを求められる日が来ます。そのとき浮かぶのが、化粧品のSDSはどう作成すればよいのかという疑問です。SDSは一見すると書式のように見えますが、すべての記載は処方、試験データ、混合物の分類規則に左右されます。本ガイドでは、作成の手順をステップごとに追い、ミスが起こりやすい箇所と、適任の作成者に任せるべき場面を解説します。
目次
結論から
化粧品のSDSを作成するには、処方の全情報と各原材料の最新のSDSを集め、CLPに基づいて混合物を分類し、REACH附属書II(規則(EU) 2020/878による改正後)が定める順序で16項目をすべて記載し、バージョン番号と改訂日を付けます。難しいのは、分類と物理的データです。SDSは法的な文書であるため、多くのブランドはテンプレートではなく、適任者またはサービスに作成を依頼しています。
ステップ1:必要かどうかを確認する
消費者向けに販売される完成した化粧品には、通常SDSは必要なく、消費者への安全性を証明するのはCPSRです。SDSが必要になるのは、一般に、製品が有害と分類される場合、他の事業者にバルクで供給する場合、あるいは顧客、ディストリビューター、運送業者から求められた場合です。この判断の詳細は、化粧品にSDSが必要かどうかを解説したガイドで説明しています。当社が提供する内容はSDSのページでご確認いただけます。
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ステップ2:必要な情報を集める
製品名だけでは、よいSDSは作成できません。次の情報を準備してください。
- 配合率、INCI名、CAS番号またはEC番号を含む、処方の全情報。
- 香料や着色料を含む、すべての原材料の最新のSDS。
- 物理的・化学的データ:外観、pH、密度、粘度。アルコールや噴射剤を含む製品では引火点も必要です。
- 容器のサイズと種類、使用目的、使用上の制限。
- 会社情報と緊急連絡用の電話番号。
pHや粘度の経時変化など、安定性試験のデータは、複数の項目の情報源として役立ちます。
ステップ3:混合物を分類する
CLP規則に基づく分類は、第2項、第3項、第9項、第11項、第12項、第14項の内容を左右します。混合物の場合、通常は、有害な各成分の分類と濃度をもとに、CLPの一般濃度限界と計算方法を用いて算出するか、混合物そのものの試験データを用います。引火性などの物理的危険性には、推定ではなく実測データが必要です。顧客や当局から尋ねられる可能性があるため、判断の根拠は必ず記録しておきましょう。

ステップ4:第1項から第3項、特定と組成
第1項では、製品名、特定された用途、供給者、緊急連絡先を記載します。第2項では、分類、ラベル要素(絵表示、注意喚起語、HステートメントとPステートメント)、その他の危険有害性を示します。第3項では、有害な成分を、識別番号、濃度または濃度範囲、分類とともに一覧にします。有害と分類され、かつ該当するカットオフ値を超えて含まれるすべての成分と、職業ばく露限界値が設定されている成分を含めてください。単独では無害な成分でも、混合物の分類に影響する場合があることを忘れないでください。
ステップ5:第4項から第8項、取り扱いと保護
これらの項目は、応急措置、消火、漏出時の対応、安全な取り扱いと保管、ばく露防止といった、読み手が取るべき行動を示します。内容は、汎用のテンプレートではなく、処方の危険性に基づいて記載します。典型的な記載には、水で目を洗うこと、溶剤に適した消火剤、漏出物の回収方法、熱源を避けた保管、取り扱う量に見合った個人用保護具などがあります。原材料のSDSに成分の職業ばく露限界値や導出無影響レベルが記載されている場合は、該当するものを引き継いでください。
ステップ6:第9項から第11項、性質と毒性
第9項には、実測値に基づく物理的・化学的性質を記載します。第10項では安定性と混触危険物質を扱います。第11項は毒性情報の要約で、通常は成分データから作成し、化粧品の場合は安全性評価にある情報で裏付けます。規則(EU) 2020/878で導入された現行の附属書II形式では、該当する場合に内分泌かく乱特性に関する情報も求められるため、古いテンプレートは内容が古くなっている可能性があります。
ステップ7:第12項から第16項、環境、廃棄、輸送、法規制
第12項では生態への影響、第13項では廃棄、第14項では輸送分類を記載します。第14項は分類と引火点から直接導かれるべきもので、第2項および第9項と整合している必要があります。第15項には製品に固有の法規制情報を、第16項には略語、出典、変更点の一覧、改訂日を記載します。シートが最新かどうかを確認するとき、読み手が最初に見るのが第16項です。

ステップ8:確認し、日付とバージョンを記載する
- 整合性:第2項の危険有害性情報は第3項と一致し、第9項の引火点は第14項の輸送情報と一致していなければなりません。
- 網羅性:空欄の項目があってはなりません。該当しない場合や、データがない場合は、事実どおり「該当なし」または「データなし」と記載します。
- 言語:製品を販売する市場に合った言語で作成する必要があります。翻訳は早めに計画しましょう。
- バージョンと日付:バージョン番号と改訂日を記載し、以前のバージョンも保管します。
- 第三者による確認:別の担当者に、処方と照らし合わせて読んでもらいます。
誰が作成すべきか
SDSは、労働者、運送業者、緊急対応機関の安全に関わる判断の基礎となるため、REACHは、適切な訓練を受けた適任者が作成することを想定しています。そのための能力があれば自分で作成することもできますが、最初の1通は、資格のある作成者またはサービスに依頼するブランドが多くなっています。原材料のSDSをそのままコピーして名称だけ変えることは避けてください。その分類は、異なる濃度の別の物質に対するものだからです。
具体例:アルコールベースのボディミスト
あるボディミストは、エタノールを多く含み、柑橘系の香料とわずかなグリセリンを配合しています。分類の段階でアルコールが問題となるため、引火点を測定します。値が低ければ、引火性液体として分類され、第2項に炎の絵表示とH225またはH226が記載されます。香料により、感作性と水生環境有害性の情報が第2項、第3項、第12項に加わります。その結果、第7項では熱源と着火源を避けて保管するよう記載し、第9項には実測した引火点を記載し、第14項には引火性液体の輸送情報を記載することになります。1つの測定値が複数の項目に影響するため、データを先に揃えることが重要です。
よくある間違い
- 競合他社や成分のSDSをコピーする。分類が自社の処方に合いません。
- 引火点を省略する。実測値がなければ、第14項も引火性の分類も根拠を示せません。
- 成分を1つしか記載しない。第3項には、分類されたすべての成分を反映させる必要があります。
- 2023年以前の書式を使う。テンプレートが現行の附属書IIに沿っているか確認してください。
- 改訂日を入れ忘れる。日付のないシートは、最新であることを示せません。
シートを再確認すべきタイミング
処方が変わったとき、原材料の供給者が新しいバージョンを発行したとき、分類や規制に変更があったとき、新しい危険有害性情報が得られたときには、SDSを見直してください。SDSは生きた文書です。
よくあるご質問
SDSを自分で作成できますか。
はい。能力とデータがあれば可能です。リスクは混合物の分類と第9項から第14項にあるため、多くの小規模ブランドでは、専門家が作成したシートを購入し、軽微な変更だけを自社で更新しています。
検査機関からどのようなデータが必要ですか。
最低限、pHが必要です。アルコールベースの製品やエアゾール製品では、引火点または引火性のデータも必要です。外観や粘度は安定性データから得られます。毒性は、通常、新たな動物実験ではなく成分データから導きます。EUでは化粧品の動物実験は禁止されています。
SDSをECHAに提出しますか。
いいえ。SDSはサプライチェーンの下流にいる顧客に、紙または電子的な方法で無償で提供するものであり、ECHAには提出しません。
重要なポイント
- まず処方、各原材料の最新のSDS、実測した物理的データを揃えましょう。
- 最初に混合物を分類します。16項目は、REACH附属書IIが定める順序で記載します。
- 危険有害性、引火点、輸送情報が一致していることを確認し、日付とバージョンを記載します。
- 適任の作成者に依頼し、処方や分類が変わるたびにシートを見直してください。
